Q1. そもそも「ベルベット下絵具」や「SC釉」って、日本の絵具と何が違うんですか?
A. 「誰でも失敗なく、鮮やかな色が出せる」ように設計された、アメリカ生まれの次世代絵具です。
Amaco ベルベット下絵具: その名の通り「ビロード」のようなしっとりとしたマット(つや消し)な質感が最大の特徴です。日本の「呉須」や「弁柄」のような下絵具ですが、色が沈まず、焼く前と焼いた後の色がほとんど変わらないため、絵付けがとても簡単です。
Mayco SC釉(ストローク&コート): 通称「ワンダーグレイズ」とも呼ばれます。これは「釉薬が入った絵具」です。つまり、絵具のように絵を描いて焼くだけで、自動的にテカテカのガラス質になります。透明釉を掛ける手間がいらない、魔法のようなボトルです。
技術・用途比較マトリクス
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特徴・機能 |
AMACO Velvet Underglaze (Vシリーズ) |
Mayco Stroke & Coat (SCシリーズ) |
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製品分類 |
下絵の具(粘土ベース) |
釉薬(ガラス・フリットベース) |
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焼成後の質感 |
マット・ベルベット状(多孔質) |
光沢・ガラス状(平滑・非多孔質) |
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透明釉の必要性 |
必須(光沢と食品安全のため) |
不要(単体で光沢が出る) |
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細部の再現性 |
極めて高い(スグラフィート、極細線) |
高い(ただし高温で少し滲む可能性あり) |
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食品安全性 |
透明釉を掛けた場合のみ安全 |
単体で安全(適切に焼成された場合) |
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塗り心地 |
チョークのような描き味 |
マニキュアや絵の具のような滑らかさ |
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最適な用途 |
イラスト、彫刻、テクスチャ重視の作品 |
全面施釉、教室用、ポップな食器 |
Q2. お勧めの使い分け方はありますか?
A. 「質感を楽しみたい」ならベルベット、「手軽にツヤを出したい」ならSC釉です。
ベルベット下絵具の使い方: 細かい線を描いたり、彫刻作品に色を塗ったりするのに向いています。上から透明釉を掛ければ鮮やかに、掛けなければマットでモダンな作品になります。素焼き前の粘土(グリーンウェア)にも、素焼き後の器にも使えます。
SC釉の使い方: お子様や初心者の体験教室に最適です。素焼きの器に、アクリル絵の具感覚で自由に絵を描いてください。そのまま焼くだけで、売り物のようなツヤツヤのカラー作品が完成します。色が混ざらないので、ドット柄や重ね塗りもきれいに決まります。
Q3. 最初に揃えるなら、どの色が人気ですか?
A. 日本の顔料では出しにくい「真っ黒」や「鮮やかな赤・オレンジ」が特に喜ばれます。
ベルベットの人気色:
・V-361 (Jet Black): とにかく濃くて深い、漆黒のような黒です。
・V-387 (Bright Red): 焼き飛びしにくい、目の覚めるような赤です。
・V-326 (Medium Blue): どんな釉薬とも相性が良い、鮮やかな青です。
SC釉の人気色:
・SC-15 (Tuxedo): ムラにならず、クッキリ発色する黒。
・SC-74 (Hot Tamale): まるで唐辛子のような、元気な赤色。
・SC-16 (Cotton Tail): 他の色と混ぜてパステルカラーを作るのに必須の白。
A. 「透明釉薬」に含まれる「亜鉛(Zinc)」が犯人かもしれません。
先生もご存知の通り、ピンク、紫、茶色系の顔料は、釉薬に含まれる「亜鉛(Zinc)」と化学反応を起こして、色が濁ったり飛んだりする性質があります。
【解決策】 本焼き(1230℃前後)をする際は、必ず「Zinc-Free(亜鉛なし)」の透明釉をお使いください。Amaco純正なら「HF-9 Zinc-Free Clear」が安心ですが、日本製の透明釉を使う場合も、材料屋さんに「亜鉛が入っていない石灰透明釉」を指定していただくと、驚くほど鮮やかに発色します。
Q5. 【ブツブツ】下絵具の上に透明釉をかけたら、縮れたりピンホールができたりします。
A. 下絵具の「焼き締め(素焼き)」を一度挟むと、劇的に改善します。
ベルベット下絵具は粒子が細かく、生乾きの状態で上から釉薬をかけると、焼成中にガスが発生して釉薬を弾いてしまうことがあります。
【プロのひと手間】 面倒でも、下絵付けをした後にもう一度「素焼き(〜800℃)」をするか、あるいは下絵具を塗った後に十分に(半日以上)乾燥させてから、透明釉を「薄く」かけるのがコツです。特に濃い色(黒や紺)は厚塗りしがちなのでご注意ください。
Q6. 【質感】釉薬をかけずに「焼き締め」で仕上げても大丈夫ですか?
A. もちろんです。それが「ベルベット」という名前の由来です。
釉薬をかけずに焼くと、名前の通り「ビロード(ベルベット)」のような、しっとりとしたマットな質感に仕上がります。特にV-361 (Jet Black) は、彫刻をした部分に塗り込み、スポンジで表面だけ拭き取る技法に最適で、作品の陰影が見事に際立ちます。

A. 高温では「透明釉」を重ねない方が、線がクッキリ残ります。
SC釉は「低火度(1000℃)」では全く動きませんが、「中高火度(1230℃)」になると少し流動性が生まれます。この時、上からさらに透明釉をかけてしまうと、釉薬同士が混ざり合って輪郭が滲んでしまいます。
【裏技】 SC釉自体にガラス成分が入っていますので、1230℃で焼く場合は、透明釉をかけなくてもツヤツヤになります。 あえて「かけない」ことで、筆のタッチや細かい模様をシャープに残すことができます。
Q8. 【塗りムラ】生徒さんが塗ると、どうしても筆跡が残ったりムラになったりします。
A. 合言葉は「3回塗り」です。
SC釉は、1回塗りだと半透明、2回目で色が乗り、3回塗って初めて「完全な発色」と「均一な厚み」になります。
【使うコツ】 1回目は「下地」、2回目は「色付け」、3回目は「仕上げ」と生徒さんに伝えてみてください。また、異なる色同士をパレットで混ぜて「中間色」を作ることもできます。絵の具感覚で自由に遊べるのがSC釉の最大の魅力です。
Q9. 【トラブル】濃い色(赤やオレンジ)の表面が、ミカンの皮のようにボコボコ(オレンジピール)になりました。
A. 釉薬が濃すぎるサインです。少しお水で薄めてみてください。
特に赤・オレンジ系の顔料は成分が重いため、ボトルの中で沈殿したり、水分が飛んで濃くなりやすいです。高温で焼く際に塗りが厚すぎると、表面張力でボコボコしてしまうことがあります。
【解決策】 筆に水を含ませてから釉薬を取るか、別の容器に出して数滴の水を加えて「トロッとした状態(飲むヨーグルトくらい)」にしてから塗ると、スルッと平滑に焼き上がります。

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